2015年12月25日金曜日

著作権と、著作権でないものと ~ 「商用利用」について

ある事柄が、どのような権利に絡むことなのか、ということについては、権利を守るうえでも、権利を活用するうえでも重要なことになります。

著作権に関しても同様で、同じような「作品」であっても、著作権に関する話と、別の権利に関するものである場合とがあります。


「商用利用はアカンって言うてるのに、商用で利用されてるんです。これって著作権の侵害ですよね!?」

以前、このような相談をされたことがありました。

2015年12月24日木曜日

守る著作権、利用する著作権

著作権に関する話をする際、多くの場合「他人の著作権を侵害しないように」という内容が多い。

他人の著作物を利用する場合の注意点について、とか、引用として認められる範囲といった話です。

他人の権利を守る、という意味では、その話も非常に重要です。

一方で、あまり話をする機会も、話を聞く機会も少ないのが、「自分の著作権を利用する」という話です。

2015年12月22日火曜日

最初の約束以外のところに使われてる! ~ 「範囲外の利用」と契約について

クリエイターさんなどからのご相談(?)の中で比較的多いのが、「最初に約束していた内容以外にも、使いまわしされている」という件です。

事案の関係で、広告関係に多いように思います。

Aという案件で納入し、当初の‘約束’では、その利用はA1、A2、A3としていた。

ところが、後々、自分の承諾を得ることもなく、A4やA5といった利用もされ、さらにはBにも利用されている
許せないっ!!

というお話です。

2015年12月9日水曜日

二次的著作物の概要(4・終) ~ 原著作者の権利

二次的著作物が創作された場合、その二次的著作物に対して、原著作者の権利が生じます。

二次的著作物の利用に関する原著作者の権利、と言われるもので、「二次的著作物の利用に関し二次的著作者が有するものと「同一の種類の権利」を専有するとされています。

 ・ 作品A(著作者・甲) 作品a(著作者・乙) 作品α
 

秘密保持契約について ~ 何が「秘密」なのか?

クリエイターやデザイナーが、仕事を受けたり、デザイン案等の提案をしたりするにあたって、相手方企業との間で秘密保持契約書を交わすことを求められたりします。

秘密保持契約書は、「NDA」(Non-Disclosure Agreement)という言い方をしたりします。

ところで、「秘密保持契約書」で守られる‘秘密’とは何でしょうか?

2015年11月13日金曜日

権利が「ある」ことと「守る」こと

権利というものについて、ある種の誤解があるように思っています。


この場合の「権利」とは、憲法に規定されているような人権ではなく、知的財産権など民事法で規定されている財産権や債権についてです。


例えば、民法では債権という権利を規定していますが、これは、例えば契約の成立によって、債権(そして、それに対する債務)が生じますよ、ということを示しています。

2015年10月30日金曜日

クリエイティブ関連の外国人を日本に呼ぶ場合の在留資格の検討 (1)

クリエイターやデザイナー、映画や音楽などで活動するため、外国人を日本に呼びたいということがあると思います。

外国人が日本に入国し、滞在するためには「在留資格」が必要です。
在留資格は、一般的には「ビザ」と呼ばれています。

「就労のビザが欲しいんですけど...」「留学のビザから就労のビザに変更したいんですが...」という場合の‘ビザ’とは、在留資格のことです。

2015年10月29日木曜日

税関の知的財産侵害物品の取締り ~ 輸入差止申立制度

税関って、ご存知ですか?

実は、税関って何をやっている行政機関なのか、よくわからないところがあります...


税関の業務の一つに、著作権などの知的財産(権)を侵害する物品の取り締まりがあります。

2015年10月28日水曜日

著作権(法)はメンドクサイ? ~ どのようなことが「権利侵害」になんねん!?

他人の著作物を勝手に使ったら、著作権の侵害でしょ。

と、簡単には言いますが、実際にはそう簡単にいかないところがメンドクサイところです。

2015年10月27日火曜日

二次的著作物の概要(3) ~ 依拠と創作性

作品Aをもとに作品aが作られた場合、 
(作品A 作品a)

 ・ 作品aが二次的著作物になる場合
 ・ 作品aが作品Aの複製物とされる場合
という違いが出てくることがあります。

2015年10月7日水曜日

著作権(法)はメンドクサイ? ~ 何が「著作物」やねんっ!?

知的財産権の中でも、著作権(法)はメンドクサイもののように思われます。

今回のメンドクサイ話は、「著作物って何やねん!?」です。

メンドくさがらず、ぜひお読みください。

著作物とは、
 思想又は感情を創作的に表現したもの
 であって、
 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう
とされています。

2015年10月6日火曜日

二次的著作物の概要(2) ~ 二次的著作物の創作に係る許諾について

作品Aをもとに作品aが、さらに作品aをもとに作品αが作られたということを考えてみます。

 ・ 作品A 作品a 作品α

作品Aを翻訳・翻案しようという場合には、作品Aの著作権者に、翻訳・翻案権の許諾を得る必要があります。

では、作品αを創作する場合はどうでしょうか。

2015年10月1日木曜日

著作権(法)はメンドクサイ? ~ 著作権者って誰やねん!?

知的財産権の中でも、著作権(法)はメンドクサイもののように思われます。

今回のメンドクサイ話は、「著作権者って誰やねん!?」です。

前回は、「著作者ってだれやねん!?」でした。

著作者と著作権者って
あぁっ! もう、メンドクサイ!

2015年9月30日水曜日

二次的著作物の概要(1) ~ 二次的著作物とは何か

著作権法、あるいは著作物の利用について、二次的著作物の理解は非常に重要です。

二次的著作物とは、ある作品をもとに、翻訳・翻案して創作された著作物のことをいいます。

著作権法では、
 「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」
を二次的著作物としています。
(二次的著作物が成立する行為として、「翻訳、編曲、変形、翻案」の4つをあげていますが、本稿では「翻訳・翻案」と記述します。)

2015年9月29日火曜日

著作権(法)はメンドクサイ? ~ 著作者って誰やねん!?

知的財産権の中でも、著作権(法)はメンドクサイもののように思われます。

どういう点が‘メンドクサイ’のか?
他の知的財産権とも比較しながら見ていきたいと思います。

今回は「著作者って誰やねん」ということで、改めて「著作者」についてみていきたいと思います。

2015年9月28日月曜日

写真の著作権・概論(5・終) ~ 「写り込み」問題

従来、いわゆる「写り込み」問題が指摘されていたところですが、この点については平成24年の著作権法改正で規定が置かれました。

例えば、
・ 街中で友達の写真を撮ったら、後ろにある著作物が写ってしまっていた
・ 子どもの写真を撮ったら、来ていたTシャツに描かれたアニメのキャラクターが写っていた
・ 画家のインタビュー記事の写真で、アトリエで画家を撮ったら、未発表の作品が写っていた
というようなケースです。

子どもに、「はい、写真撮るからそのシャツ脱いで!」と言うわけにもいきませんよね(笑

2015年9月18日金曜日

写真の著作権・概論(4) ~ 写真の著作物の侵害行為

写真も、著作物と認められれば、著作権法で保護されます。

従って、著作権法で規定されている諸権利(著作財産権、著作者人格権)を許諾なく行うと、著作権の侵害行為になります。

では、写真の著作物に関しては、どのような侵害行為があるのでしょうか?

2015年9月17日木曜日

著作権(法)を学ぶ機会がない不幸

東京オリンピックのエンブレム問題や、それとは関係のない「盗用」云々の話題も、エンブレム撤回で過去の話となってしまった感があります。

この問題の些細な部分を蒸し返すつもりはありませんが、飲料メーカーの景品の著作権侵害疑惑については、氏は「共同作業者(事務所の部下?)がやったこと」で「教育がちゃんとできていなかった」旨のことを言われていました。

ところで、この「教育」なのですが、例えば今回問題になったような著作権に関することなのですが、いったい、いつ、学ぶ機会があるのでしょうか?

2015年9月14日月曜日

著作権が共有になる場合の注意点 ~ 使いづらいコンテンツは、使ってもらえない(のでは...)

ある作品を作る際、数人のクリエイターが関わる場合があります。

クリエイター各自が創作的に関与していると、それぞれのクリエイターが著作者となり、著作権は享有となります。

ここで一つの問題が、「クリエイター全員が著作権を持ちたがる」ということがよくあることです。

そうすると、一つの作品について、多くの著作権者が存在する状況になります。

著作権を持つことそのものが悪い、ということではないのですが、別の観点から少し考えてみたいと思います。

2015年9月11日金曜日

写真の著作権・概論(3) ~ 写真の著作物の著作者

著作権を考える一つの重要な要素として、「著作者は誰か」という点があります。

著作者とは、著作物を創作した者です。

この「創作」性とは、著作者の個性が著作物の中に何らかの形で表れていればそれで十分である、とされています。

2015年9月1日火曜日

写真の著作権・概論(2) ~ 写真の著作物性(2)

写真が著作物と認められるためには、思想又は感情が創作的に表現されている必要があります。

一般的な説明としては、
被写体の選択、シャッターチャンス、シャッタースピード・絞りの選択、アングル、ライティング・光量の調整、構図・トリミング、レンズ・カメラの選択、現像・焼付等により、思想・感情が表現されていなければならない、
とされています。

2015年8月31日月曜日

写真の著作権・概論(1) ~ 写真の著作物性(1)

現行の著作権法では、写真も著作物として例示されています。

とはいえ、著作物であるためには「思想又は感情を創作的に表現したもの」である必要があります。

例えば、誰が撮っても同じになってしまうような写真、思想又は感情が表現されていないような写真は、著作物にはなりません。

著作物性が認められない写真としては、次のようなものがあげられます。

2015年8月27日木曜日

「あんな風に作って」の危うさ ~ クリエイターさん、注意してくださいね!

あるデザイナーの「模倣」が話題になっていますね。

ネットで流れている情報を見ていると、必ずしも「そもそも著作権侵害ではないのではないか?」(模倣されたとされる側が「著作物」ではない。)と思われるものもあります。

一方、いわゆる「パクり」とか「盗用」というものが、著作権法上の問題だけではないですし、法律上の問題だけではなく倫理上の問題という点からの検討も可能でしょう。

ところで、少し違う観点で、クリエイティブのお仕事をしている方に注意していただきたい点があります。

2015年8月26日水曜日

著作権の登録について(4・終) ~ プログラムの著作物に関する創作年月日の登録

著作権の登録制度は、次の4つがありました。

 (1)実名の登録〈著75条〉
 (2)第一発行年の月日登録〈著76条〉
 (3)創作年月日の登録〈著76条の2〉
 (4)著作権の登録〈著77条〉

今回は(3)について説明します。

プログラムは、著作権法で著作物とされています。

2015年8月24日月曜日

その契約条項、合意内容が反映されていますか?

契約書のチェック等の業務を受け、実際にチェックをしている時に、確認のために、と思って依頼者に訪ねた際、ときどき次のようなやり取りが生じます。

私「この第〇条って、こういう意味ですよね?」
依頼者「いえ、そうではなくて、こういう意味ではないですか?」

なんでもないやり取りのように思われるかもしれませんが、大きな問題が含まれているやり取りです。

2015年8月21日金曜日

商品化契約(4) ~ 「商品化権許諾契約(商品ライセンス契約)」締結のポイント

商品化契約(商品化許諾契約)を結ぶ際に、どのようなことに注意し、どのようなことを決めておくべきでしょうか。

最低限必要な項目を列挙してみます。

商品化契約(3) ~ ライセンサーとライセンシー

ライセンサーとは、自分が有する権利(著作権)について第三者に許諾する者のことで、許諾される第三者をライセンシーと呼びます。

商品化許諾契約における、ライセンサーとライセンシーの関心事は...
ライセンサー ・・・ ライセンスによるライセンス料収入
 ライセンシー ・・・ 人気キャラクターによる売り上げアップ

2015年8月18日火曜日

誰の権利を侵害しているの? ~ 「フランスパン」を例に...

佐野研二郎氏がデザインした(とされていた)景品のバッグのデザインが、ネットにあがっていた画像と類似している、と話題になっています。

ニュースなどで「盗用」などと言われているのは、著作権法上の問題という側面もあるとは思いますが、「プロがすることじゃないよね」という、倫理的な側面や感情的な側面が大きいように思います。

ところで、これを著作権法上の複製権侵害、又は翻訳・翻案権等の侵害、という点から考えた場合、「誰の権利を侵害したのか」ということを考える必要もあります。

分かりやすいので、「フランスパン」の例を挙げてみます。

2015年8月17日月曜日

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(1)

2020年 東京オリンピックのエンブレムについて、「盗用疑惑」なる問題で騒がれています。
この騒動について、ちょっと「整理」をしてみたいと思います。

まず、「盗用」とされているのは、次の2点においてです。

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(5・終)

著作権を侵害しているというためには、双方が似て(類似して)いることが必要になります。

著作物の類似性の判断は、どのようにするのでしょうか。

著作権法で保護されているのは著作物の「表現」ですので、類似性が肯定されるためには、著作物の「表現」が共通している必要があります。

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(4)

ここで、「思想又は感情」と「表現」の関係を考えたいと思います。
前述のとおり、著作権法が保護するのは創作的な「表現」です。

一般的に説明されることで、著作権法では「アイデアは保護されない」と言われます。

これは、「アイデアと表現の二分論」という著作権法上の基本ルールで、思想又は感情、アイデアは保護されないというものです。

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(3)

同じような表現が偶然に創作されることはあるわけです。

では、複製権や翻訳・翻案権を侵害した、というためにはどのような要件が必要なのでしょうか。

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(2)

著作権法で保護されるには、著作物である必要がありますが、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」とされています。

当該エンブレムには、これをデザインした佐野氏の「コンセプト」が込められていますので、当該エンブレムは著作物と考えて差し支えないと思います。
(但し、コンセプトと表現については別の問題がありますが、それは後に述べます。)

なお、佐野氏がデザインしたエンブレムが、他の作品を模倣したものであって、これに佐野氏の創作が入っていないのであれば、エンブレムは著作物として保護されません。

ここで、ベルギーのリエージュ劇場のロゴマークについても著作物として保護されているものであることを前提にしておきます。

もし、リエージュ劇場のロゴマークが著作物として保護されないものであれば、たとえ「盗用」があっても、少なくとも著作権法上の問題ではありません。

一方、「配色」は、表現ではなく、アイデアではないかと思われます。


さて、東京オリンピックのエンブレムと「ベルギーのリエージュ劇場のロゴマーク」が「似ている」ということから「盗用疑惑」が出されました。

しかし、ここで重要なことは、「似ている」「類似している」から「盗用」、または「盗作」であるとは限らない、ということです。

なお、この場合の「盗用」、又は「盗作」とは、著作権法上の「複製権侵害」、又は「翻訳翻案権の侵害」という意味です。

(ニュース等で使われている「盗用」という文言は、もう少し広い(?)意味で使われているかもしれません。また、「盗用」は主として論文やレポートなどの文書に、「盗作」は主として著作物について用いられているようである。)


著作権法は、例えば特許法と違い、偶然同じような表現であっても、著作者の「思想又は感情を創作的に表現したもの」であれば著作物として保護されますし、同じような表現だからといってすぐに著作権侵害ということになりません。

特許の場合には、その発明が公表されていることから「知りませんでした」ということは通用しないのですが、著作物の場合、登録する義務もなく、偶然同じようなものが出てくることは十分にあり得ます。




2015年8月14日金曜日

他人の楽曲、3小節以内なら許諾なく使えるって、ほんと?

他人の楽曲をドラマなどの映像に利用する場合には、「引用」にはあたらないというのは当然です。
ときどき、そのような主張をしている方がいらっしゃいますが...

このような利用をする場合には、楽曲の著作権者に許諾が必要です。

ところで、もう一つ驚きの内容を聞くことがあります。

2015年8月13日木曜日

契約書案が提示されたら、それに従わないといけない?

「先生、相手方からこんなヒドイ内容の契約書にサインしろ、と言ってきたんですよ!」
と、契約書案を見せてくれます。

‘ヒドイ’というのにはいろいろなケースがありますが、やはり、権利(著作権)が自分に残らない、とか、仕事の内容の割には報酬が少ない、といったものが多いようです。

ここでひとつ勘違いしているのではないか、と思うことがあります。

2015年8月11日火曜日

「キャラクター」とは ~ ドラえもんは「キャラクター」ではない!?

キャラクターという言葉を聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?

例えば「ドラえもん」のようなアニメの登場人物(‘ドラえもん’は‘人物’じゃないけど。法律的には「物」!)のようなもの、「くまモン」や「ふなっしー」に代表されるご当地キャラのようなもの、あるいはゲームに出てくる「マリオ」のようなものを思い浮かべるかもしれません。
その他、いわゆるキャラクターと呼ばれるものはたくさんあります。

ところで、実は法律の世界では、例えば「ドラえもん」として描かれているものを「キャラクター」とは呼んでいません。

内容証明郵便って、なぁに?

内容証明郵便(単に、「内容証明」とも言います。)、というものを聞いたことがあると思います。

報酬を払ってくれない、などという場合に、支払いを請求するような場合に利用します。

これについても、ちょっとした思い違いをしている方がいらっしゃいます。

2015年8月7日金曜日

甲、乙、丙、丁、戊 … (その後、何でしたっけ?)

「先生、契約書に「甲は、…」とか「乙は、…」というのがたくさん出てきて、どっちがどっちだか分かりにくいんですけど...」

さて問題です。

契約書では、当事者の一方を「甲」、もう一方を「乙」としなければならない。 
 丙.はい、その通りです。
 丁.いいえ、そんなことはありません。

2015年8月5日水曜日

「クリエイター」と「経営者」 ~ 独立時・起業時に注意したいこと

どこかのデザイン事務所などに勤めていたクリエイターさんが、自分のやりたいことをしたい! と、独立して、個人でデザイン事務所を始めたり、会社を設立したりすることはよくあることです。

今までは、やりたくない仕事もやらされたり、無能な上司のせいで自分のデザインがつぶされたり、ということもあったかもしれません。

しかし、そんな嫌なことからも解放される!
いわゆる起業です。
一国一城の主です!

しかし、ここで一つ、重要なことに気づかず、起業してしまっていることがよくあります。

2015年8月4日火曜日

契約書のタイトル ~ 「請負契約書」「委任契約書」「委託契約書」

契約書のタイトルと、契約書の内容は関係がない、ということは以前にも書きました。

タイトルに「覚書」と書いてあっても、内容としては「契約」であれば、それは「契約書」です。

契約書のタイトルと内容については、別の観点からも気を付けておく必要があります。

例えばタイトルで「~請負契約書」と書いてあっても、契約の内容としては「(準)委任契約」である、ということもあるわけです。

2015年8月3日月曜日

商品化契約(2) ~ 「商品化権許諾契約(商品ライセンス契約)」の概要

商品化に関する契約は、「商品化権許諾契約(商品ライセンス契約)」 「商品化契約」あるいは「キャラクター商品化契約」 「キャラクター商品化ライセンス契約」などといわれ、 著作権の許諾契約(ライセンス契約)とほぼ同じような契約だと考えられます。

2015年8月1日土曜日

商品化契約(1) ~ 「商品化権」とは

商品化契約(商品化許諾契約、商品ライセンス契約)は、キャラクターを利用した資金回収手段のひとつである商品化ビジネスを支える契約です。

ライセンサー(許諾する側)にとってもライセンシー(許諾してもらう側)にとっても非常に重要な契約です。

商品化権というのは、どのような権利でしょうか。

2015年7月31日金曜日

専門家と「魔法の杖」

クリエイターさん(だけではないかもしれませんが)が、法律の専門家に何を期待しているのか、ということを、いろいろな相談内容から思い返してみると、問題をパッと解決してくれるような「魔法の杖」のようなものを期待しているのではないか、と思ったりしています。

契約関係や権利関係で何か問題が起こっても、自分が期待するような解決をすぐに実現してくれる、「魔法の杖」...

払ってくれなかった報酬をパッと支払ってくれたり、無断で使われていると思われる自分の作品について、使用をやめさせたり、ライセンス料が支払われるようになったり...

2015年7月29日水曜日

契約書のひな型について ~ ひな型利用の注意点

契約書のひな型は、そういった本も多くありますし、ネットにもそれらしきものが出てきます。

本に掲載されているものであれ、ネットの検索で出てくるものであれ、それをそのまま利用することは避けたいですが、別の問題もあります。

それは「おいしそうな所の寄せ集め」をしてしまうことです。

ひな型Aのαという条項は、自分に都合がよさそうだから利用しよう。
あ、ひな型Bのβという条項も自分に都合がよさそうだから、これも入れておこう。

というような感じで、自分に完全に有利な内容で作り上げたと思っている契約書は、全体を通してみると大笑い(失礼...)してしまいそうな内容になっていることが多いです。

内容が重複していたり、場合によっては矛盾する条項が平気で並んでいたり...、と、契約書としては全く役に立たないものができあがったりします。

「契約書」とは、当事者の「合意」した内容を記録したものであり、自分の都合のよい内容を並べればよいというものではありません。

契約書のひな型は、どのような合意をしておくべきか、といった指針にするくらいのもので、そのまま利用したり、都合のよいところだけを持ってきても意味がないということを知っておいてほしいと思います。

☞ クリエイターのお仕事に関する権利関係、契約書作成のご相談は、こちらからどうぞ。

2015年7月28日火曜日

契約書のタイトル ~ 「契約書」と「覚書」

契約書のタイトルについても、時々相談があります。

契約書のタイトル、「~契約書」と書くより「~覚書」にした方がいいですよね?
という相談もよくあります。

2015年7月2日木曜日

契約書のひな型について ~ ひな形の利用方法について

契約をするにあたって、ひな型を利用することが悪いわけではありません。

ただ、内容も分からないままタイトルだけを見て使うとか、実際の合意内容とお関係なく使うということに問題があるわけです。

ちなみに、

2015年6月29日月曜日

「引用」か、「パクリ」か、「オマージュ」か?

「引用」か「パクリ(複製)」か「オマージュ」か?
この区別はたいへん難しい。

著作権の基本(9) ~ 「著作権」の全体像(体系):複製権とは

著作財産権のうち、最も基本となる権利は「複製権」です。

Copyright の言葉が表すとおり、著作権の基本はCopy 複製 です。
ちなみに、Ⓒ は、Copyright の頭文字から来ています。

2015年6月26日金曜日

契約の「役割」 ~ 契約は法律を変える

契約には、次のような役割(効果)があると考えられます。

一つは、法律を補足する役割。
もう一つは、法律を変える役割。

法律を変える、とは!?

2015年6月23日火曜日

著作権の登録について(1) ~ 著作物(著作権)の譲渡をする場合

著作権の登録制度をご存知でしょうか?

著作権は、著作物が創作された時に発生するものであり、無方式主義を採用しているから、登録は必要ないし意味がない、と考えている方もいらっしゃいます。

確かに、著作権における登録は著作権の発生要件ではありません。

著作権の登録について(3) ~ ペンネームを利用している方へ!(その2)

著作権の登録制度は、次の4つがありました。

 (1)実名の登録〈著75条〉
 (2)第一発行年の月日登録〈著76条〉
 (3)創作年月日の登録〈著76条の2〉
 (4)著作権の登録〈著77条〉

今回は(2)について説明します。

2015年6月22日月曜日

契約書のひな型について ~ 契約と契約書の「怪」

契約でトラブルになっている方に契約書を見せてもらいました。

私「ここに、コレコレこういう条項がありますね。」

2015年6月19日金曜日

契約の「役割」 ~ 契約は法律を補足する


契約の「役割」とはどのようなものでしょうか?

契約には、次のような役割(効果)があると考えられます。

一つは、法律を補足する役割。
もう一つは、法律を変える役割。

2015年6月15日月曜日

著作権の基本(8) ~ 著作隣接権とは:自然の音を録音すると…

著作権は、大きく「著作者の権利」と「著作隣接権」とに分かれます。

著作隣接権とは、著作物を創作した者ではなく、著作物を伝達したりする者が有する権利です。

「著作隣接権」を有するのは、次の4者です。

2015年6月14日日曜日

著作権法の目的と、著作権ビジネス ~ 契約はなぜ重要か?

少し概論になってしまいますが
著作権法の「目的」を、ご存知でしょうか?

訴訟と、勝訴と、債務の履行

「裁判で勝ってもムダやんかっ!」
ということを、ときどき耳にします。

勝訴の判決をもらっても、相手方(債務者)からお金を払ってもらえなかった!というようなケースです。

そうなる理由は...

2015年6月10日水曜日

契約書のひな型について ~ 契約書のひな型はありません!?

著作権やクリエイター、コンテンツビジネスに限らず、「契約書を作成してください」という話をさせていただきますと、必ずと言ってよいほど聞かれることがあります。

2015年6月9日火曜日

「引用」って、なに? ~ 著作物の引用の要件

他人の著作物を利用する際にしばしば出てくるのが「引用」という言葉です。

著作物を利用するには、原則として著作財産権の譲渡を受けるか、利用許諾(ライセンス)を受けるかのいずれかの方法があります
その例外が、「著作権の制限」です。

例えば、レンタル屋さんで借りてきたCDを、自分のiPodにダビングするのにいちいち著作権者の許諾を得なければならない、としたら非常に煩わしいですよね?

2015年6月4日木曜日

不思議に思うこと ~ 問題を解決する魔法の杖?

クリエイターをサポートする業務をやっていますと、当然のことではありますが、交流会などでクリエイターさんにお会いした際に、権利関係や契約関係のトラブル事例や悩みのご相談を受けることがあります。

どのように対応したらよいかとか、ポイント解説的なことはさせていただきますが、その後で、ちょっと不思議に思うことがあります。

著作権の登録について(2) ~ ペンネームを利用している方へ!

著作権の登録制度は、次の4つがありました。

 (1)実名の登録〈著75条〉
 (2)第一発行年の月日登録〈著76条〉
 (3)創作年月日の登録〈著76条の2〉
 (4)著作権の登録〈著77条〉

今回は(1)について説明します。

創作活動について、ペンネームなど本名(実名)とは違う名前で行っている方もいらっしゃると思います。

実名で活動する場合と、実名とは違うペンネーム等の仮名(変名)で活動する場合とでは、保護期間が違ってきます。

2015年6月1日月曜日

プロジェクションマッピングに関する著作権の概要メモ(後編)

プロジェクションマッピングに使用する映像は映画の著作物であることを前提に、権利関係等についていくつか検討してみます。

プロジェクションマッピングに関する著作権の概要メモ(前編)

プロジェクションマッピングとは、建物のような構造物や物体に映像を投影する技術です。

東京駅の駅舎に映し出したイベントや、城郭の天守閣に映し出したりするものを見たことがあると思います。

さて、プロジェクションマッピングに使用される映像作品も、創作性が認められれば著作物となり、著作権が生じます。

プロジェクションマッピングに使用される映像は、映画の著作物と考えられます。

契約の成立と契約成立の立証

契約書を作成する理由の一つとして、裁判の際の証拠となる、ということがあります。

契約は、双方の合意により成立します。
一方、裁判においては、契約書のない契約は認められにくい、ということが言われています。

この点について、契約は成立しているのに、それが認められないというは変じゃないか、ということを言われたことがありました。

2015年5月28日木曜日

意外と知らない? 契約の「締結」と契約の「履行」

契約については、契約(合意)と契約書に関する誤解について書きましたが、もう一つ分かっておいてほしいことがあります。

契約の「締結」(契約の成立)と、契約の「履行」についてです。

所有権の移転の時期

(問)先日(最初の投稿は5月15日)投稿したケースの場合、腕時計の「所有権」が移転するのはいつでしょう?

イ.売買契約が成立した、2015年5月15日
ロ.Aが腕時計を引き渡した、2015年5月31日
ハ.(腕時計は引き渡されていることを前提として)Bが代金10万円を支払った、2015年6月30日


答えは!?

2015年5月26日火曜日

実演家(著作隣接権者)の権利

実演とは、
著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)
とされている。

2015年5月18日月曜日

契約における権利と義務の関係

契約をする際、「権利と義務の対応」が不明確になる場合があります。

例にあげた、「Aが、腕時計を10万円でBに売る」という売買契約の場合。

Aの権利 Bに10万円の支払いを請求できる(支払ってもらえる)
Aの義務 Bに腕時計を引き渡す

Bの権利 Aに腕時計の引渡しを請求できる(引き渡してもらえる)
Bの義務 Aに10万円を支払う

演劇・舞台公演の権利関係と契約に関する概要メモ

演劇・舞台を制作・公演する場合に関わってくる権利者、権利関係についての概要をメモ程度に整理しています。

上演内容や座組み等により権利者や権利内容が変わってくる場合があります。


2015年5月11日月曜日

契約における合意とは

息子「パパぁ! つぎの日曜日、遊園地に連れて行ってね!」
パパ「よっしゃ! 連れてってやるぞ!」
息子「やった~!」

さて、この息子さんとお父さんの約束は、「契約」でしょうか?

2015年5月4日月曜日

契約と契約書 ~ 契約書があってもなくても関係ない!?

クリエイターの皆さん、
契約書を交わしていないから、契約は成立していない、などと思っていませんか?

時々「契約書がないから、契約はしてないよ」という趣旨の話を耳にします。
もっとヒドイ(?)のは、「契約書を作ったら義務が生じるやん」と思っていたり

そんなことはありません!!

2015年4月27日月曜日

著作権の基本(7)~著作権にはどのような権利があるの?

クリエイターの皆さん。
「著作権」には、どのような権利があるかご存知でしょうか?

「勝手に使い回しされてるねん」というのは、具体的にどのような権利の侵害になっているのでしょうか?

「著作権といえば、勝手にコピーしたらアカンよね...」というのは、「著作権」のほんの一部でしかありません。

また、「使い回しをされている」というケースも、予定されていなかった印刷物がたくさん作られている、という場合と、当初は印刷物だけでの利用の約束だったのにネット上でも利用されている、という場合では、関係する権利関係が違ってきます。

2015年4月21日火曜日

請負契約と委任契約

クリエイターの皆さん、
「請負契約」と「委任契約(準委任契約)」って、知っていますか?
その違いは分かりますか?

この違いは、クライアント(お客さん)に請求できる報酬とも大きくかかわっています。

例えば、ある制作に関して数日間拘束されたけど、契約が成功報酬のような形式になっていて、結局、報酬がもらえなかった、というようなケース...

2015年4月16日木曜日

理想論ですが...

(ある分野で活動する)クリエイターさんから、よくこのようなことを聞きます。
「権利とか契約、契約書を交わしましょう、などということを言うと、仕事が来なくなる」

なるほど、実際に、このような話や、裁判までやって勝訴したのはいいけどそれ以後仕事が来なくなった、という話を耳にします。

クール・ジャパンなどと言いますが、こういったことも含めてクリエイターが直面している問題を聞いていると、クリエイターにとっては本当に「冷たい」状況なのではないか、という感じがします。

とはいえ、それでも私はセミナーなどで、「理想論ですけども」と前置きしたうえで、次のようなお話をさせていただいています。

2015年4月13日月曜日

他人の音楽を利用したい!

ある楽曲を演奏したり、歌詞の一部を利用したいという場合には、その楽曲や歌詞の著作権者、又は著作権を管理している団体(音楽の場合のその代表が、一般社団法人日本音楽著作権協会、いわゆるJASRAC(ジャスラック)です。)から許諾を得る必要があります。

ただ、ここで注意しておくことがあります。

2015年4月6日月曜日

「新しいタイプの商標」について

今回は、商標について書こうと思います。

これを読んでいただいている方の中には、クライアント企業さんのブランディングをされている方も多いと思いますが、そのような場合には商標法の知識も必要です。

商標とは、商品やサービス(「役務」)に使われる標章のことで、特許庁の審査を経て登録された商標を、登録商標といいます。標章とは、ブランド名やネーミングやマーク等のことです。
商標法において商標とは、「文字」、「図形」、「記号」、「立体的形状」や、「これらの結合」、「これらと色彩との結合」とされています。

例えば「DoCoMo」(商標登録第4494077号)というのは「文字商標」ですし、全日空の「ANA」(商標登録第3059927号)という商標(実際には、ANAの後に図形も入っている)は、文字、図形と色彩の結合です。
不二家のペコちゃんは、立体商標として登録されています(商標登録第4157614号)。

なんとなく商標のイメージがつかめましたでしょうか?
その文字やマーク(標章)が付いていると、どこの商品か、どこのサービスか、ということが識別できるようになります。
商標には、このような「自他商品・サービスの識別機能」や「出所表示機能」といった役割・機能があり、その他にも「品質・質保証機能」があります。

さて今回、これまでは登録が認められず保護することができなかった次の5つの商標について、登録できるようになりました。