2015年6月26日金曜日

契約の「役割」 ~ 契約は法律を変える

契約には、次のような役割(効果)があると考えられます。

一つは、法律を補足する役割。
もう一つは、法律を変える役割。

法律を変える、とは!?


(ちょっと長くなります... m(_ _)m

法律には、「強行法規(強行規定)」と呼ばれるものと、「任意法規(任意規定)」と呼ばれるものがあります。

「強行法規(強行規定)」とは、当事者間で法律に定められていることを変更できないような法律、又はその規定をいいます。

刑法や、独占禁止法は、強行法規(強行規定)です。
自転車の取り締まりが厳しくなった、という道路交通法も強行法規(強行規定)です。

例えば、刑法では、殺人は犯罪とされていますし、同意殺人や嘱託殺人も同様に犯罪となります。

「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」〈刑法第199条〉
「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。」〈刑法第202条〉

ここで、Aさんが、Bさんに対して「病気で苦しむのがイヤだから、俺を殺してくれ! お前が俺を殺しても殺人罪にならないようにしよう。」と頼んで、BさんがAさんを殺した場合、Bさんには刑法第202条で殺人罪が成立します。(情状酌量で、「無罪」という可能性もありますが...)

当事者間で「殺人罪には該当しない」という約束をしても、そのような約束は無効となり、法律の規定が適用されることになります。

このような法律又は規定を「強行法規(強行規定)」といいます。

一方、「任意法規(任意規定)」とは、当事者間の合意で変更が可能な法律又は規定をいいます。

民法の多くの規定は、任意規定とされています。

例えば、請負契約において、請負人は瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)を負うと規定されていますが〈民法643条~640条〉、契約でこの責任を排除することができます。

大工さんに家を建ててもらう契約は、通常は請負契約で、もし完成した家が雨漏りするようであれば、請負人である大工が瑕疵担保責任を負い、その修繕義務があります。
しかし、発注者(施主)との間の契約で、大工がそのような責任を負わないとすることも可能です。
そして、そのような契約がなされていれば、大工は瑕疵担保責任を負わないことになります。

このように、当事者間での合意が、法律又は規定に優先する場合、その法律又は規定を「任意法規(任意規定)」と言います。

契約とは、法律(任意法規・任意規定に限ります。)を変える役割がありますが、契約とはそのように重要なことを決めているのだ、ということも知っておいてほしいと思います。


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