2015年5月28日木曜日

意外と知らない? 契約の「締結」と契約の「履行」

契約については、契約(合意)と契約書に関する誤解について書きましたが、もう一つ分かっておいてほしいことがあります。

契約の「締結」(契約の成立)と、契約の「履行」についてです。


契約の「締結」(契約が成立した)とは、権利義務の内容について合意することです。

一方、契約の「履行」とは、合意した義務を果たすことです。


時計の売買契約を例に考えてみます。

2015年5月15日、
AとBは次のような約束をした。

A「この腕時計、10万円で売るよ。」
B「よし、その腕時計やったら、10万円でも高くない! 10万円で買うよ。」

ここで、「売買契約」は、成立しています。

A「じゃあ、腕時計は5月31日に渡すよ。」
B「分かった。でも、お金の準備にちょっと時間ほしいから、支払いは6月30日までということにしてな。」
A「エエよ。」

で、Aが5月31日に腕時計を引き渡すこと、Bが6月30日までに代金10万円を支払うことを、契約の「履行」と言います。

特に難しいことではなさそうですが
次のような場合、どうなるのでしょう?
1.Aが6月になっても時計を引き渡してくれない

2.Aが6月になっても時計を引き渡してくれないので、Bが、Aに「引渡せ!」と請求したところ、Aは「そんな請求したっけ?」と言ってきた

3.Aが6月になっても時計を引き渡してくれないので、Bが、Aに「引渡せ!」と請求したところ、Aは「あぁ、あの腕時計、Cが15万円で買うって言うから、Cに売ってしまったわ」と言ってきた

4.Aは、5月31日に時計を引き渡してくれたが、実は故障して動かないものだった

5.Aは、5月31日に時計を引き渡し、6月30日にBに対して10万円の支払いを請求したが、「え? 腕時計? そんなん受け取ってないよ」と言われた

6.Bから支払われた金額は、10万円ちょうどだった → A「え? 消費税分は?」 B「は?」

なんか、大学の民法の授業みたいになってきた

じゃ、おまけで、

(問)上記のケースの場合、腕時計の「所有権」が移転するのはいつでしょう?
イ.売買契約が成立した、2015年5月15日
ロ.Aが腕時計を引き渡した、2015年5月31日
ハ.(腕時計は引き渡されていることを前提として)Bが代金10万円を支払った、2015年6月30日

正解は、こちら


○ クリエイターのお仕事に関する権利関係、契約書作成のご相談は、こちらからどうぞ。

0 件のコメント:

コメントを投稿