2015年12月22日火曜日

最初の約束以外のところに使われてる! ~ 「範囲外の利用」と契約について

クリエイターさんなどからのご相談(?)の中で比較的多いのが、「最初に約束していた内容以外にも、使いまわしされている」という件です。

事案の関係で、広告関係に多いように思います。

Aという案件で納入し、当初の‘約束’では、その利用はA1、A2、A3としていた。

ところが、後々、自分の承諾を得ることもなく、A4やA5といった利用もされ、さらにはBにも利用されている
許せないっ!!

というお話です。


さて、このような事案において考えるべきことが2つあります。


1つ目は、‘約束’つまり契約で、「著作権をすべて譲渡する」という合意があったのではないでしょうか。

その‘約束’つまり契約が、口約束であれ書面であれ、同じです。

口約束による合意も契約です。


いやそれでも

というところで、
2つ目についてですが、上記の「著作権をすべて譲渡する」という合意について、「Aの案件」に関して、あるいは「A1、A2、A3」に関しては使っていいよ、という意味だった、さらには、それに関して譲渡したものである、と考えている方もいらっしゃるかもしれません。


だから、「A1、A2、A3」以外に利用することは‘約束’つまり契約に反する、と


しかし、残念ながらそのような考え方は採用されないと思います。


例えば、あなたが誰かからある物を買った場合、通常その物は、あなたが自由に使えるはずです。


通常、著作権をすべて譲渡すると、譲り渡してもらった者はその権利を自由に使えるわけです。


つまり、上記のような考え方は間違い、ということになります。


もちろん、当事者間で「A1、A2、A3」でのみ利用する、と明確に合意したうえで「著作権をすべて譲渡する」としたのであれば、「A1、A2、A3」以外に利用した場合に契約違反と考えられる可能性もあります。

しかし、単に「Aの案件」で「A1、A2、A3」に利用する、そして「著作権をすべて譲渡する」とした場合、「A1、A2、A3」以外への利用は、契約に反するとは言えません。

ある範囲に利用を限定する場合には、通常は権利譲渡ではなく、ライセンス契約(利用許諾契約)にすることが望ましいわけですが、そのあたりの違いもしっかり理解しておくことが必要です。

一方、「勝手に変更されている」という場合もありますが、それに関してはこちらもご参照ください。

著作権の契約書作成のご相談は、こちらのフォーム又はメールからどうぞ。



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