2015年7月31日金曜日

専門家と「魔法の杖」

クリエイターさん(だけではないかもしれませんが)が、法律の専門家に何を期待しているのか、ということを、いろいろな相談内容から思い返してみると、問題をパッと解決してくれるような「魔法の杖」のようなものを期待しているのではないか、と思ったりしています。

契約関係や権利関係で何か問題が起こっても、自分が期待するような解決をすぐに実現してくれる、「魔法の杖」...

払ってくれなかった報酬をパッと支払ってくれたり、無断で使われていると思われる自分の作品について、使用をやめさせたり、ライセンス料が支払われるようになったり...


しかし、残念ながら「魔法の杖」なんて、ありません。

報酬の取り立てを考えてみると、支払ってくれない相手方に内容証明郵便を出して督促することを皮切りに、場合によっては支払督促という手続き、あるいは訴訟を考える必要も出てきます。

支払督促であれ、訴訟であれ、請求する場合には証拠が必要となってきます。

メールでのやりとりが残っていればまだ何とかなるかもしれませんが、それも曖昧な内容であったり、それこそ口約束だけであったりすると、勝つ見込みはほとんどなくなります。

また、裁判で勝ったとしても、相手方が支払いをしなければ、強制執行という別の手続きが必要です。


・・・と、結局、法律の専門家がアドバイスできるのはこのような、権利を実現するための手続きについてであり、どのような証拠をそろえればいいのか、といったことや、書類の作成等でお手伝いできるだけです。

何か、‘あること’をすればすべて解決し、今まで支払ってくれなかった報酬を相手方が支払ってくれる...
などという、「魔法の杖」なんて無いのです。

相談に来られた方に上記のような説明をすると、「そんなことが聞きたいんじゃなくて、パッと解決する方法を教えてよ」という感じになったり、「法律なんて役に立たないのね!」と言われることもありますが...


自分には権利(例えば、債権:相手方に報酬の支払いを請求できる権利など)があるよー、と言っているだけでは、残念ながら権利は実現しません。

自分の権利を行使し、実現するのは自分自身で、それをサポートするのが法律の専門家なのです。


クリエイターのお仕事に関する権利関係、契約書作成のご相談は、こちらからどうぞ。
ただし、「魔法の杖」は持ち合わせておりません...


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