2015年12月9日水曜日

秘密保持契約について ~ 何が「秘密」なのか?

クリエイターやデザイナーが、仕事を受けたり、デザイン案等の提案をしたりするにあたって、相手方企業との間で秘密保持契約書を交わすことを求められたりします。

秘密保持契約書は、「NDA」(Non-Disclosure Agreement)という言い方をしたりします。

ところで、「秘密保持契約書」で守られる‘秘密’とは何でしょうか?


秘密保持契約の内容は、通常「業務で知り得た相手方の秘密情報を第三者に漏洩しない」というものが一般的です。

場合によっては、もう少し具体的に「提出した書面の複写を禁止する」旨の記載があるものもあります。

このような条項で守られるものはいったい何か、ということです。

これは、デザイナー等の仕事の内容にかかわることです。

例えば、
 Aというアイデア
があり、
アイデアAを記載した書面a
があったとします。

上記の「業務で知り得た相手方の秘密情報を第三者に漏洩しない」「提出した書面の複写を禁止する」という契約をした際、守られるのは何でしょうか?

「アイデアA」について、関係のない第三者に話したり、SNSで書き込みをする、ということは契約違反になります。

また、「書面a」を勝手にコピーしたり、手書きで書き写すような行為は、契約違反になります。
もちろん、「書面a」を第三者に渡すような行為も、漏洩に当たると考えられるので、契約違反です。

では、上記のような契約で、「アイデアA」は守られるのでしょうか?
「アイデアA」を勝手に使うという行為は、上記の内容だけでは契約違反にならない可能性があります。

注意していただきたいのは、どのような規定が、どこまでの範囲で効力があるのか、ということです。
あるいは、その条項で、契約当事者の考えていることが実現できるのか、ということです。

さらに、デザイナー等にとって「自分の仕事の価値」がどこにあるのか、ということを考える必要がある、ということになります。

デザイナーやクリエイターの仕事とは、企画書に‘書かれて’あるものであったり、1枚のデザイン画(だけ)に価値があるわけではありません

その背後にある考え方であったりアイデアであったり、コンセプトであったり、そういった目に見えない部分こそが重要な価値なのではないでしょうか?

その部分をどのように守るのか?

これは、単に「提出した書面の複写を禁止する」という著作権的な内容ではないということに注意してほしいと思います。


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一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務) 高木泰三行政書士事務所

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