知的財産権の中でも、著作権(法)はメンドクサイもののように思われます。
今回のメンドクサイ話は、「著作権者って誰やねん!?」です。
前回は、「著作者ってだれやねん!?」でした。
著作者と著作権者って…
あぁっ! もう、メンドクサイ!
ハイ、さて。
著作権法の世界では、「著作者」と「著作権者」ははっきりと分かれています。
単純には、
「著作者」 ・・・ 著作物を創作する者
「著作権者」 ・・・ 著作財産権を有する者
となります。
さらに、著作権は、「創作の時」に生じるとされているので、
原則として、(最初は)
「著作者」 = 「著作権者」
になります。
なんだ、簡単ではないか、と思われるかもしれませんが、メンドクサイのはここからです...
‘原則として’と書いたように、例外があるわけです。
一つは「職務著作」で、もう一つは「映画の著作物」です。
職務著作 ・・・ 法人等が「著作者」になる
映画の著作物 ・・・ 映画製作者が「著作権者」になる
ということになります。
職務著作の場合、創作者である個人が「著作者」にもなりません。
従って、創作者に「著作財産権」もありません。
映画の著作物の場合は、創作的に寄与した人が「著作者」にはなりますが、「著作財産権」は有さないということになります。
また、「著作財産権」は譲渡することができますし、さらに著作権者が死亡すれば相続の対象にもなります。
相続人が複数いると、著作財産権は共有になって... と、権利者が増えることになる可能性があります。
増えるだけならまだしも、相続人が誰か分からず、誰が権利を持っているか分からない、というケースも出てきます。
さらに、「著作財産権」は、複製権などの複数の権利の束ですが、これらは別々に譲渡することも可能です。
Aさんには複製権を、Bさんには翻訳・翻案権を... という感じです。
これらを明確にしておかないと、誰がどの権利を持っているのか、分からなくなることも多くなります。
結局、ある著作物を利用したい! と思って、権利者の調査をしても(というか、そもそも権利者を探さないといけない、ということじたい、メンドクサイ話です。)誰に権利があるか分からない、ということになってしまいます。
(特許権や意匠権、商標権は、誰が権利者かということは、(権利者の調査と言っても)登録原簿を見れば分かります。しかし、著作権の場合には、登録制度はあっても権利発生の要件にはなっていませんので、特許権等のように権利者がひと目で分かるようなものではない、ということです。)
譲渡する場合でも契約書がしっかり作成されていれば、このような問題も減ると思われますが、口約束で済ませてしまったり、曖昧な書面しか作成していないのが実状です。
で、「著作権者って、誰やね~んっ!?」となって、使えない著作物がいっぱい出てくるわけです...
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