2015年12月25日金曜日

著作権と、著作権でないものと ~ 「商用利用」について

ある事柄が、どのような権利に絡むことなのか、ということについては、権利を守るうえでも、権利を活用するうえでも重要なことになります。

著作権に関しても同様で、同じような「作品」であっても、著作権に関する話と、別の権利に関するものである場合とがあります。


「商用利用はアカンって言うてるのに、商用で利用されてるんです。これって著作権の侵害ですよね!?」

以前、このような相談をされたことがありました。


いわゆるフリー素材を提供しているサイトを思い浮かべていただいたらいいと思いますが、利用規約等で使用できる範囲を決めていることがあります。

その中に「商用利用は禁止します」といった内容を書いている場合があります。


では、「商用利用の禁止」と「著作権の侵害」は、関係があるのでしょうか?


(都合上、フリー素材が著作権法で保護されている著作物であることを前提に書いています。)

著作権を侵害しているかどうかを考える場合、(広義の)著作権のどの支分権を侵害しているか、ということが重要になります。


勝手にコピーしているなら「複製権」の侵害、無断でネットにアップロードしているなら「公衆送信権」の侵害... といった感じです。


そうすると、いわゆる「商用利用」というものに関する規定があるかというと、ありません。

つまり、「商用利用を禁止」しているフリー素材について「商用利用」したとしても、著作権の侵害にはならないと考えられます。

(もともと、利用許諾もしていないものについて、勝手に利用しているのであれば、「著作権の制限規定」に該当する場合を除き、私的であっても商用であっても利用はできず、それは著作権の侵害ということになります。)


では、「商用利用を禁止」しているフリー素材の「商用利用」は、どのように考えたらいいのでしょうか?


考えられるのは、「利用許諾条件の違反」という、契約上の話だということです。

こういった利用であれば許諾します、というふうに条件付きで許諾している場合に、それを守っていない、ということです。


そのような場合に利用許諾をどうするか、というのも、利用規約等で決めることであって、契約上の問題であるといえます。


「商用利用はアカンって言うてるのに、商用で利用されてるんです。」
という場合に、どのように対応するのか、ということを考えておき、利用規約等にも書いておくことが重要です。


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一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務) 高木泰三行政書士事務所 


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