2015年9月28日月曜日

写真の著作権・概論(5・終) ~ 「写り込み」問題

従来、いわゆる「写り込み」問題が指摘されていたところですが、この点については平成24年の著作権法改正で規定が置かれました。

例えば、
・ 街中で友達の写真を撮ったら、後ろにある著作物が写ってしまっていた
・ 子どもの写真を撮ったら、来ていたTシャツに描かれたアニメのキャラクターが写っていた
・ 画家のインタビュー記事の写真で、アトリエで画家を撮ったら、未発表の作品が写っていた
というようなケースです。

子どもに、「はい、写真撮るからそのシャツ脱いで!」と言うわけにもいきませんよね(笑


簡単に言うと、「写り込んだ著作物に関しては、著作権侵害にならない」ということを明確にしたものです。
(但し、以下のとおり、写真の‘写り込み’だけが対象ではありません。)

‘写り込んだ’著作物、というのは、

「写真の撮影、録音、又は録画の方法によって、著作物を創作する」
にあたって、
「分離することが困難であるため付随して対象となる著作物」
のことです。

街中で風景や友達のムービーを撮った場合に、たまたま音楽の著作物が録音されてしまっていても、複製権の侵害にはなりません。

当然、コンサートに行って友達(じゃなくても、例えば床がずーっと写ってるような映像)を写しているとして、結局は演奏された楽曲が1曲まるまる録音されてました、みたいなものは、該当しないと思われます。

また、
「当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る」
とされています。

友達を撮った、といっても、それは隅っこの方にちょっと写っているだけで、どう見ても後ろに写っている著作物のほうがメインよねー、というような場合はダメでしょう。

「付随対象著作物には、未公表著作物も含まれる」
とされており、上記の画家のアトリエでの写真もこれに含まれると思われます。

いわゆる「写り込み」は、著作権の制限規定(許諾なく使える場合)になりますので、
「付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし、著作権者の利益を不当に害する場合」
には、「写り込み」とは認められないことになります。


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