2015年8月18日火曜日

誰の権利を侵害しているの? ~ 「フランスパン」を例に...

佐野研二郎氏がデザインした(とされていた)景品のバッグのデザインが、ネットにあがっていた画像と類似している、と話題になっています。

ニュースなどで「盗用」などと言われているのは、著作権法上の問題という側面もあるとは思いますが、「プロがすることじゃないよね」という、倫理的な側面や感情的な側面が大きいように思います。

ところで、これを著作権法上の複製権侵害、又は翻訳・翻案権等の侵害、という点から考えた場合、「誰の権利を侵害したのか」ということを考える必要もあります。

分かりやすいので、「フランスパン」の例を挙げてみます。


まず、フランスパンそのものは著作物か、というと、残念ながらそうではありません。

たとえ、名の知れ渡ったパン職人が焼いたフランスパンであっても、それをデザインに取り込むことじたいは、著作権侵害ではありません。

では、このフランスパンを撮った写真を真似た場合、どうでしょうか?

写真も著作権法上、著作物とされています。

写真にも創作性が認められれば、著作物となりますが、フランスパンを撮った写真も、著作物となる可能性はあります。
香ばしさを出したいとか、それこそ焦げ目をキレイに見せたい、というようなことであれば、著作物として認められると思われます。

著作物である写真のフランスパンの画像を写し取るような場合は、これは著作権の侵害になります。

では、誰の著作権を侵害しているかというと、原則論としては写真を撮った人になります。
当然、ここで、フランスパンを焼いた職人は出てきません。

さらに、フランスパンを見て絵を描いて、その絵を写真に撮った場合はどうでしょうか?

まず、フランスパンを見て描いた絵、これは著作物でしょうか?

おそらく、そっくりそのままを描いたとしても、やはり描いた人の思想・感情が入るのではないでしょうか。
そうすると、フランスパンを見て描いた絵は著作物となる可能性はあります。

では、その絵を写真に撮った場合はどうでしょう?

先ほど、「写真も著作権法上、著作物とされています。」と書きましたが、当然、著作物と認められるには、創作性が必要です。

一般的に、平面の絵を忠実に再現した写真は、撮った人の創作性が入る余地ないので、著作物としては認められません。

そうすると、その写真に写っているフランスパンの絵を見て真似ると、著作権の侵害には当たらないのでしょうか?

このような場合、写真を撮った人にはそもそも権利はありませんので権利侵害の話は出てきませんが、そこに写っているフランスパンの絵は著作物と考えられますので、写真に写っているフランスパンの絵を見て真似る行為は、絵を描いた人の著作権を侵害することになります。

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