2015年8月21日金曜日

商品化契約(4) ~ 「商品化権許諾契約(商品ライセンス契約)」締結のポイント

商品化契約(商品化許諾契約)を結ぶ際に、どのようなことに注意し、どのようなことを決めておくべきでしょうか。

最低限必要な項目を列挙してみます。

商品化契約(3) ~ ライセンサーとライセンシー

ライセンサーとは、自分が有する権利(著作権)について第三者に許諾する者のことで、許諾される第三者をライセンシーと呼びます。

商品化許諾契約における、ライセンサーとライセンシーの関心事は...
ライセンサー ・・・ ライセンスによるライセンス料収入
 ライセンシー ・・・ 人気キャラクターによる売り上げアップ

2015年8月18日火曜日

誰の権利を侵害しているの? ~ 「フランスパン」を例に...

佐野研二郎氏がデザインした(とされていた)景品のバッグのデザインが、ネットにあがっていた画像と類似している、と話題になっています。

ニュースなどで「盗用」などと言われているのは、著作権法上の問題という側面もあるとは思いますが、「プロがすることじゃないよね」という、倫理的な側面や感情的な側面が大きいように思います。

ところで、これを著作権法上の複製権侵害、又は翻訳・翻案権等の侵害、という点から考えた場合、「誰の権利を侵害したのか」ということを考える必要もあります。

分かりやすいので、「フランスパン」の例を挙げてみます。

2015年8月17日月曜日

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(1)

2020年 東京オリンピックのエンブレムについて、「盗用疑惑」なる問題で騒がれています。
この騒動について、ちょっと「整理」をしてみたいと思います。

まず、「盗用」とされているのは、次の2点においてです。

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(5・終)

著作権を侵害しているというためには、双方が似て(類似して)いることが必要になります。

著作物の類似性の判断は、どのようにするのでしょうか。

著作権法で保護されているのは著作物の「表現」ですので、類似性が肯定されるためには、著作物の「表現」が共通している必要があります。

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(4)

ここで、「思想又は感情」と「表現」の関係を考えたいと思います。
前述のとおり、著作権法が保護するのは創作的な「表現」です。

一般的に説明されることで、著作権法では「アイデアは保護されない」と言われます。

これは、「アイデアと表現の二分論」という著作権法上の基本ルールで、思想又は感情、アイデアは保護されないというものです。

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(3)

同じような表現が偶然に創作されることはあるわけです。

では、複製権や翻訳・翻案権を侵害した、というためにはどのような要件が必要なのでしょうか。

東京オリンピック エンブレム「盗用」問題について(2)

著作権法で保護されるには、著作物である必要がありますが、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」とされています。

当該エンブレムには、これをデザインした佐野氏の「コンセプト」が込められていますので、当該エンブレムは著作物と考えて差し支えないと思います。
(但し、コンセプトと表現については別の問題がありますが、それは後に述べます。)

なお、佐野氏がデザインしたエンブレムが、他の作品を模倣したものであって、これに佐野氏の創作が入っていないのであれば、エンブレムは著作物として保護されません。

ここで、ベルギーのリエージュ劇場のロゴマークについても著作物として保護されているものであることを前提にしておきます。

もし、リエージュ劇場のロゴマークが著作物として保護されないものであれば、たとえ「盗用」があっても、少なくとも著作権法上の問題ではありません。

一方、「配色」は、表現ではなく、アイデアではないかと思われます。


さて、東京オリンピックのエンブレムと「ベルギーのリエージュ劇場のロゴマーク」が「似ている」ということから「盗用疑惑」が出されました。

しかし、ここで重要なことは、「似ている」「類似している」から「盗用」、または「盗作」であるとは限らない、ということです。

なお、この場合の「盗用」、又は「盗作」とは、著作権法上の「複製権侵害」、又は「翻訳翻案権の侵害」という意味です。

(ニュース等で使われている「盗用」という文言は、もう少し広い(?)意味で使われているかもしれません。また、「盗用」は主として論文やレポートなどの文書に、「盗作」は主として著作物について用いられているようである。)


著作権法は、例えば特許法と違い、偶然同じような表現であっても、著作者の「思想又は感情を創作的に表現したもの」であれば著作物として保護されますし、同じような表現だからといってすぐに著作権侵害ということになりません。

特許の場合には、その発明が公表されていることから「知りませんでした」ということは通用しないのですが、著作物の場合、登録する義務もなく、偶然同じようなものが出てくることは十分にあり得ます。