2016年7月19日火曜日

著作権・著作物に関する契約 ~ 契約が必要な場合と契約で注意したい点(2):権利者が複数になる場合

著作権の課題の一つとして、権利者が不明確になりやすい、という点があげられます。

そのようなケースとして考えられるのが、創作にあたって「多くの人が関わる」ことになる著作物です。

例えば、映画の著作物が考えられます。

映画の著作物の場合、監督、演出、撮影、美術等を担い、映画の著作物の「全体的形成に創作的に寄与した者」が著作者とされています。

一方、映画の著作権については、その著作者が映画製作者に対し製作に「参加することを約束」しているときは、当該映画製作会社に帰属する、と規定しています。

映画の著作権については、映画製作者に権利が集約されるような法制度になっています。

しかし、それ以外の著作物の場合にはそうはなっていません。


つまり、ある著作物について、複数の人が創作的に関与した場合、それらの人が著作権者になることになり、著作権が共有になることになります。

後々のためにも、また、対外的にも、誰が著作権を共有しているのかを明確にしておく必要があります。


また、もう少し根本的なことになると、「創作的」に関与したのかどうか、という判断が難しくなる可能性があります。

単に誰かの指示に従って作業をしただけであれば、創作的に関与したとはいえないと考えられます。

ただ、そういったことも実際の関与の状況を見てみないと分からないということがあります。


著作権が共有になっている場合には、後々の利用がしにくいということがありますので、できる限り共有状態を避けるため、あらかじめ契約で処理しておくことも検討すべきかもしれません。


著作権者になる者(あるいは、その可能性がある者)から著作権(著作財産権)の譲渡を受けるということを検討し、その契約をしっかり結んでおくということになります。


さらに、「財産権」の譲渡になりますので、ある程度金銭的なことを考慮する必要があります。

もちろん、譲渡にあたって必ずしも対価を払うこととする契約にする必要はなく、様々な方法が考えられますし、相手方との交渉次第であることに注意が必要です。


無理やり権利譲渡を認めさせる(権利を取り上げるかのような)やり方、あるいは譲渡するのが当然といったような対応は、逆に後々のトラブルの元になります。



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