2014年12月10日水曜日

まさか! 思いがけずパブリック・ドメインに!?

このようなことがありました。

いわゆる一人会社である株式会社Aでデザインを請け負っていたデザイナーαがいました。
契約書も、法人Aの代表者としてそのデザイナーαが記名あるいは署名し、代表社印で押印していました。
その後、そのデザイナーαは会社Aを清算しました。
さて、その場合、その会社Aが請け負い、デザイナーαがデザインしたものの著作権はどのようになるでしょうか?

法律的に考えて、その答えは・・・


その前に、まず認識しておいてほしいことがあります。
「‘個人’と‘法人’は別である」ということを。
この場合、Aとαは別である(別人格である)ということです。

そして、次に考えてほしいことは、上記のように仕事を請け負っていた場合、通常は誰が著作者で、誰が著作権者なのかという点です。

上記のような形で仕事を請け負っていた場合、要件を満たしていれば「職務著作」が適用されると考えられます。
従って、著作者は法人Aとなり、著作権者も法人Aとなります。

この法人Aが精算して無くなった場合、著作権者がいなくなるわけで、そのような場合、その著作物はパブリック・ドメインになります。

ただし、
 (1)法人Aとデザイナーαとの間で、著作者をαとするような契約や規約があった場合(職務著作の要件を満たしていない場合)
 (2)法人Aからデザイナーαに著作権の譲渡をした場合
には、著作者及び著作権者はデザイナーαになります。

「‘個人’と‘法人’は別である」というのは、特にいわゆる一人会社や中小零細の会社の方が忘れがちなことです。
いわゆる一人会社とは社員一人(取締役一人)の会社のことです。

著作物を扱う会社は、こういったことにも注意してほしいものです。


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