著作権の表示をしておかないと、著作権者として認められない。
そういうことを時々耳にします。
著作権表示とは、一般的にはⒸ(「マルシーマーク」)のことで、場合によっては(C)のようにカッコ書きにしている場合もあります。
また、All Rights Reserved と書かれているものもあります。
このような表示は、いったい何を意味しているのでしょうか?
日本の場合、著作権は、著作物が創作されたときに発生するとされています。
登録のような手続きなしに著作権は発生しますので、無方式主義と呼ばれています。
では、そもそもこの著作権表示の根拠は何なのでしょうか?
これは万国著作権条約に規定されているものです。
アメリカ合衆国では、1989年までは方式主義を採用していました。
このような方式主義国と無方式主義国の橋渡しをするために採択されたのが万国著作権条約です。
無方式主義国の著作物であっても、この条約に基づく表示をすれば、方式主義国でも保護されるとしました。
その表示の内容も定められており、次の3つです。
「Ⓒ
(マルシー)」「著作権者」「第一発行年(最初の発行年)」
時々、「Ⓒ
会社名 2005-2014」のような表示を見かけますが、「2005-2014」という書き方は「第一発行年」の表示とは言えない(要件を満たしていない)ように思えます。
とはいえ、アメリカ合衆国もベルヌ条約に加盟(1989年)して無方式主義を採用し、ほとんどの国が無方式主義になっていることから、この表示の意味合いもほとんどなくなりました。
なお、「All Rights Reserved」の表示は、万国著作権条約上の表示ではありません。
ところで、著作権表示については、日本の法律では規定されていません。つまり、著作権表示の根拠は、日本の法律上には無いということです。
下級審の裁判例ですが、「著作権表示は、著作権者を推定するものではない」と述べたものがあります。
著作権表示があっても、本当にそこに表示されている者が権利を有しているか確認する必要があります。
これについては、最近問題になった「スクエニ」に関する事件でも重要なポイントのようです。
また、著作者には、著作者人格権のひとつである「氏名表示権」を有していますが、著作権表示(Ⓒ(マルシー)や、All Rights Reservedの表示)は、この権利の行使にはあたらないと考えられます。
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