職務著作に関連して、トラブル事例としてよくあるのが、退社したクリエイター(デザイナー)との関係です。
退社したクリエイター(デザイナー)が、在職中に創作したデザインを勝手に使っているというものです。
これについて、会社側、クリエイター(デザイナー)側はそれぞれどのようなことに注意すべきなのでしょうか?
クリエイター(デザイナー)としては、「自分がデザインしたものだから、著作権も自分にある」と考えたいものです。
しかし、「職務著作」にあたる場合には、法人等が著作者であり著作権者になりますので、退職後、クリエイター(デザイナー)としてはこれを勝手に利用することはできません。
双方でまずしっかり確認しておきたいのは、職務著作に当たるかどうか、という点です。
たとえ会社の従業員であっても、「職務上」作成したものでなければ、職務著作の適用はありません。
次に、退職後の取扱いについてです。
原則として、職務著作に該当するデザインなどを退職後にクリエイターが利用したい場合には、会社から権利を譲渡してもらうか、利用許諾を受ける必要があります。
以上の2点を明確にしておく必要がありますが、次のような点についても考えておくべきです。
1.社内の会議で出されたアイデアについて
アイデアは著作物ではなく、著作権法の対象にはなりません。
退社後に、不採用になったアイデアを利用することは問題ないように思われます。
2.社内で「不採用」となったデザイン案について
「不採用」のものであっても、「職務上」作成したものであれば、その著作者は法人等になると考えられますので、クリエイターが勝手に利用することはできないと考えられます。
後々のトラブルを防ぐ、ということも重要ですが、せっかくのアイデアや新たに創作されたものをできる限り活用できるような関係を築いてほしいものです。
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