2014年11月20日木曜日

著作権の基本(6) ~ 映画の著作者と著作権者

著作権は、著作物が創作されたときに発生するので、通常、著作者=著作権者となります。
その原則に当てはまらないもう一つが「映画の著作物」です。

映画は、制作、監督、助監督、演出、撮影、美術、音響、俳優など、多くの人が関与して製作されます。
また、映画を作るにあたって原作(小説や漫画等)がある場合や、劇中に音楽が利用されている場合もあります。

そこで映画の著作物では、「制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」が著作者とされており、「モダン・オーサー」と呼ばれています。

通常、著作者であれば著作権者になりますが、そうすると、映画の著作物の著作権者が多くなってしまいます。


そこで著作権法では、映画の著作物の著作権者は、著作者が映画製作者に対して「製作に参加することを約束」している場合には、著作権は映画製作会社に帰属することになります。つまり、著作権者は映画製作者です。
また、映画の著作物においても「職務著作」の適用がある場合には、その映画の著作物の著作者は法人等(映画製作者)になります。

なお、(映画の著作物において翻案され、又は複製された)小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者」は「クラシカル・オーサー」と呼ばれ、映画の著作物の書作者とはなりません。
また、俳優(実演家)は、著作隣接権者として保護されることになります。


さて、このような規定になっているのは、映画の製作には多大な費用がかかるので、権利者を一人にして利用しやすくすることにより、資金の回収をしやすくしようという考えがあります。つまり、ビジネス展開をしやすくしようとしているということです。

しかし、日本の映画製作の場合、その多くは「製作委員会方式」と呼ばれる方法により製作されています。
製作委員会方式の場合、製作委員会に参加しているメンバーが著作権を共有することになり、許諾の面で使いにくくなっていると考えられます。

法律で権利者を一人にしてビジネス展開をしやすくしているのに、わざわざ権利者を増やすような形にしているという不思議。

ハリウッドで製作される映画は、著作権が共有になっていることはほとんどないようです。
ある映画で、製作費がかさみ、やむなく権利を買ってもらうことで出資をしてもらったが、著作権が共有になり難儀した、という話を聞いたことがあります。
その映画の関係者は「もう二度と共有ではやらない!」と言ったとか…

ちなみにその映画とは、豪華客船が氷山に衝突して沈没するという作品...(だったと思います... うろ覚え... (^^;)

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