2015年6月1日月曜日

プロジェクションマッピングに関する著作権の概要メモ(後編)

プロジェクションマッピングに使用する映像は映画の著作物であることを前提に、権利関係等についていくつか検討してみます。


まず、プロジェクションマッピングに使用する映像を「映画の著作物」としましたが、この作成に関わる人に、そのような意識があるのかどうか、という点が問題になる可能性があります。
つまり、一般的な映画であれば、「映画の著作物の製作に発意と責任を有する」映画製作者がいて、映画の著作者に当たる人たちは、映画を作っていることを認識して参加していることが通常ですので、映画の著作権は映画製作者に帰属することとなります。

プロジェクションマッピングの映像制作を、映像制作会社等が請負ったりして、外部のクリエイターに制作協力をしてもらう場合、通常は業務委託契約のような形式になると考えられますが、そのような場合にこの映像制作会社等が「著作権者」になるか、曖昧なケースが出てくる可能性があります。

また、プロジェクションマッピングの映像制作を、映像制作のクリエイターが個人で請け負うなどして、さらに数人のクリエイターが共同で作成した場合には、「映画の著作物」のような「著作者」「著作権者」の関係が不明確になりがちな所から、権利の所在が不明確になるケースが出てくる可能性があります。

この点については、映像制作にあたって、契約で「映画の著作物」の制作であることを明確にし、数人のクリエイターが共同制作する場合には権利をまとめる契約をしておくことが望ましいと考えられます。

一方、映画の場合には、映画館で繰り返し上映することや、DVD等へのビデオグラム化、テレビ放映等、様々な利用により資金回収を図るのが一般的ですが、プロジェクションマッピングの場合、現在のところそこまで広く利用について考えられていないのが一般的ではないでしょうか。
(投影する構造物の形状に合わせて映像を作ると、その構造物以外では利用于できない、というのも一つの特徴です。)
しかし、繰り返し上映たり、編集等をして新たな映像を作成することも考えると、権利関係を明確にしておくことが望ましいと考えられます。

プロジェクションマッピングと映画との違いの一つとして、「投影(上映)する技術」があります。

プロジェクションマッピングは、「マッピング」という言葉があるように、投影する映像を、投影する構造物等に張り合わせるという意味があり、映し出す対象と映像がぴったりと合うことに意味があるとされています。
そこで、投影する構造物等の形状に合わせてズレを調整するなど、投影の技術が重要になってきます。
そのような技術的な部分について専門的に関与する者がいても、その者はプロジェクションマッピングの映像の著作者にはならないと考えられます。

プロジェクションマッピングは、その映像を建物のような構造物等に映し出しますが、このような利用方法は著作財産権のうち「上映」に該当します。
従って著作権者から上映権の許諾が必要となります。

プロジェクションマッピングに音楽が使われている場合、映像の著作物とは別に権利が生じていますので、利用許諾等の権利処理が必要になるのは当然のことです。

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