2016年1月5日火曜日

著作権と、著作権でないものと ~ 被写体の権利

ある事柄が、どのような権利に絡むことなのか、ということについては、権利を守るうえでも、権利を活用するうえでも重要なことになります。

写真や映像でよく問題になるのが、被写体の権利です。

写真を撮っていいのか、あるいはその写真を利用することができるのか、といったことにも関わってきます。


被写体にしようとしているものが著作物の場合、複製権の問題が出てくる場合があります。

デジカメで撮って、ブログやTwitterなどでネットにアップロードする場合には、公衆送信権の問題が出てきます。


一方、偶然に写ってしまうような場合もあります。

街中で写真を撮ったら、貼られていたポスターや看板が写っていた、というケースや、部屋の中で撮ったら飾っていた絵が写った、子どものスナップ写真を撮った際に着ていたシャツの柄が有名なキャラクターだったというような場合です。

これらについては、いわゆる「写り込み」の問題として、著作権法でも手当てされています。


これに対し、人物を写すような場合に、著作権の問題と考える方はいらっしゃらないと思います。

これは、「肖像権」や「プライバシー権」の問題です。

写す対象が俳優やアイドルのような場合には、「パブリシティ権」の問題になります。


ところで、飲食店で料理の画像を撮ってネットにアップすることがよくありますが、画像を撮ることを禁止する飲食店も増えてきました。

これについて、「著作権的に...」といったコメントも聞かれますが、そもそも料理が著作物とは考えられず、そういった意味では著作権法上の問題ではありません。


自動車のような工業製品は、意匠権としての保護があるかもしれませんが、著作物ではありません。

しかし、トラックの車体に描かれた絵が創作性があれば、その部分は著作権で保護されると考えられます。


難しいのは建物かもしれません。

建物でも、創作性があれば著作物となります。

古い寺社仏閣の建造物について著作物性があると思われるものがありますが、建てられたのが江戸時代や、それ以前ということであれば、既に保護期間は過ぎています。

それでも、そういった寺社仏閣の中には「撮影禁止」としているところもあります。

これについても著作権法上の問題ではなく、文化財の保護という側面が強いと思われます。

また、これは建物に限りませんが、自分が所有権を有する物に対する財産権(自分の財産をどのように利用するかを決める権利)という観点からの撮影禁止ということもあると思います。

一概に「こういう理由だからダメ」と言えないケースも多くあるので、
 写真を撮る、映像を撮る = 著作権上の問題
と単純に考えるだけでなく、他の権利についても検討が必要です。


☞ 著作権に関すること、著作権の契約書作成のご相談やご依頼は、こちらのフォームか、メールからどうぞ。
メールアドレスは、ホームページをご覧ください。

一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務) 高木泰三行政書士事務所


0 件のコメント:

コメントを投稿