2015年9月18日金曜日

写真の著作権・概論(4) ~ 写真の著作物の侵害行為

写真も、著作物と認められれば、著作権法で保護されます。

従って、著作権法で規定されている諸権利(著作財産権、著作者人格権)を許諾なく行うと、著作権の侵害行為になります。

では、写真の著作物に関しては、どのような侵害行為があるのでしょうか?


写真の著作物に関する侵害行為には、次のようなものが考えられます。
(1)写真の複写
(2)写真を基に絵を描く
(3)似た構図の写真を撮る
(5)写真の画像をもとに、立体物を作る

(1)と(2)は、複製権侵害になります。

(1)は、写真をそのままカラーコピーや、写真の著作物を写真で撮るようなケースです。

(2)は、「見て、描く」ケースと、トレースのように写し取るケースが考えられますが、いずれも侵害行為になります。

もし、絵を描いた際に、描き手の創作が加わったような場合には、複製権侵害ではなく、翻訳・翻案権の侵害という場合もあります。

(3)について、例えば東京タワーを、同じ地点で、同じ角度、同じズームで撮れば、アングルとしては同じような東京タワーの写真が何枚も撮ることができます。

この、「アングルの発見」は、著作権法では保護されない、という考え方が裁判例で示されています。

「アングルが同じ」というだけでは、著作権の侵害にはならないということになると考えられます。

(4)は、写真の一部を切除するようなケースです。
これについては、著作者人格権の一つである同一性保持権の侵害になる場合があります。

ただ、どのような場合にでも侵害行為になるかというと、そうではありません。

「切除個所が極めてわずかであるなど著作者の人格的利益を害することがないと認められる場合」
には、同一性保持権の侵害にはならないと考えられています。

一方、
「上下又は左右の一部が切除されたことにより各写真の本来の構図が明らかに変更されており、これによって著作者の制作意図に沿わないものとなっていることが認められる」場合には、
人格的利益を害することになり、著作者人格権である同一性保持権の侵害になると考えられます。

(5)のケースは、翻案権の侵害になると考えられます。
一般的に、平面の写真から立体物を作る場合には、創意工夫(創作性)が必要とされているからです。

しかし、立体物の形状にもよりますので、翻案権ではなく、複製権の侵害となる場合も考えられます。


☞ 著作権の契約書作成のご相談は、こちらからどうぞ。


0 件のコメント:

コメントを投稿