2016年1月25日月曜日

3Dプリンターに関する著作権の概要メモ(1)

3Dプリンターが注目されていますが、3Dプリンターを使って立体物を制作する場合の著作権について考えてみたいと思います。

3Dプリンターを使って立体の物を作る場合、
 (1)元となるものが立体物で、これをスキャンして同じような物を作る
 (2)元となるものが平面の絵などで、そこから3DCADなどで3Dデータを作成して作る
 (3)完全にオリジナルなものを作る(元になるものがない)
という3通りのケースがあると思われます。

それぞれのケースについて著作権の側面から考えてみたいと思います。


(1)元となるものが立体物で、これをスキャンして同じような物を作る

彫刻や立体の造形物等をスキャンし、そのデータを元に3Dプリンターで立体物を制作する場合です。

制作の元になるものにはいろいろあり、著作物である場合もあれば、工業製品のように著作物ではないもの、動物や人体のようなものまであります。

元になる物が著作物であり、それを3Dプリンターを使って立体物として制作する場合には、複製権の問題になると考えられます。
このような場合、元にする著作物の著作権者からの許諾等が必要になります。

一方、元になる物が著作物ではない場合には、著作権上の問題はないと考えられます。

動物や植物をスキャンするような場合にも、著作物でない場合と同じように考えていいと思います。

難しいのは、人体をスキャンする場合です。
例えば、ある人物の写真を撮る場合には、肖像権やパブリシティ権の問題が生じます。

身体について勝手にスキャンする行為は、プライバシーの問題と関係すると思われます。

パブリシティ権の対象となるような人をスキャンするということはかなり限られたケースかもしれませんが、(2)のケースでは注意が必要ではないでしょうか。

ところで、スキャンしたデータの権利はどのようになるのでしょうか。

これについては、スキャンしたデータ自体は著作物ではないと考えられます。

従って、著作権法上の保護はないと考えられます。


著作権に関すること、著作権の契約書作成のご相談やご依頼は、こちらの相談フォームか、メールからどうぞ。
メールアドレスは、ホームページをご覧ください。


一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務) 高木泰三行政書士事務所 

0 件のコメント:

コメントを投稿