著作権というのは非常にややこしい点が多いのが、他の知的財産権との違いであるともいえます。
特許権や意匠権、商標権に比べ、身近な権利であるにも関わらず、あまりよく理解されずに、間違った情報や考え方で書かれているものも時々目にします。
そこで、改めて著作権に関することを考えるためのポイントを確認しておきたいと思います。
最低限のポイントとして、大きく3つあります。
1)著作物か否か
2)著作者・著作権者は誰か
3)保護期間(存続期間)
それぞれ簡単に見ていきます。
1)著作物か否か
いちばん重要で、しかも難しいのが、「著作物か否か」についてです。
著作物でなければ著作権は生じませんし、著作物でないものを勝手に使っても著作権の侵害にはなりませんし(他の問題が生じる可能性はある)、勝手に使われても著作権侵害で訴えることはできません(実際には、著作権侵害で訴えるも、著作物性を否定される、という流れが多いかもしれません)。
ある作品なり表現なりが、著作物かどうかについて争いがある場合の判断は、最終的には裁判で、ということにならざるを得ません。
ただ、著作物の定義である「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」が基本になりますので、‘創作的(創作性)’、‘表現したもの’という点を中心に考えることになります。
2)著作者・著作権者は誰か
「著作者」とは、著作物を創作した者(創作的に寄与した者)
「著作権者」とは、著作者の権利の享有者(著作権を享有する者)
通常、ある著作物が創作されると、原則としてその時点では、
著作者 = 著作権者
となります。
但し、その原則に当てはまらないのが、
イ)職務著作の場合
ロ)映画の著作物の場合
であり、さらに、
ハ)著作財産権が譲渡された場合
があります。
それぞれについての説明は別稿に譲りますが、
・ 著作者(著作者人格権を有している)
・ 著作権者(著作財産権を有する者)
の違いを明確にする必要があります。
3)保護期間(存続期間)
保護期間が切れた著作物は、いわゆるパブリックドメインといわれ、(著作権法上は)自由に利用ができるものになります。
日本の著作権法では、
・ 創作の時に始まって、著作者の死後50年
というのが原則になっています。
それ以外の規定では、
・ 無名、変名の著作物の場合、公表後50年
・ 団体名義の著作物の場合、公表後50年
・ 映画の著作物の場合、公表後50年
となっています。
以上、3つに絞って基本事項を書きましたが、実際にはさらに細かい論点があります。
著作権、著作物に関わる方々には、ぜひとも理解を深めていただき、著作権という権利、財産権を上手く利用していただきたいと思います。
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一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務) 高木泰三行政書士事務所
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