作品Aをもとに作品aが、さらに作品aをもとに作品αが作られたということを考えてみます。
・ 作品A → 作品a → 作品α
作品Aを翻訳・翻案しようという場合には、作品Aの著作権者に、翻訳・翻案権の許諾を得る必要があります。
では、作品αを創作する場合はどうでしょうか。
作品aを翻訳・翻案して作品αを作ろうという場合には、作品aの著作権者の許諾だけなく、作品Aの著作権者の許諾も必要になることに注意が必要です。
著作物の利用についてはこの点が非常に重要で、この権利のつながりが問題になります。
特にアメリカの映画制作の現場では、どんなに面白いネタがあっても、権利処理が行われていなければ利用しない、と言われています。
当然、その権利処理は書面で行われている必要があります。
さて、翻訳・翻案のつながりについて、
・ 日本語の小説(日本語版) → 英語への翻訳(英語版) → 映画化
という例を考えると、英語版をもとに映画を制作する場合には、英語版の著作権者の許諾を得るだけでなく、日本語版の著作権者の許諾を得る必要があります。
権利関係については、原著作物と二次的著作物について別々に考えることになります。
従って、日本語版が、例えば「源氏物語」で、その英語版をもとに映画化する場合でも、英語版について著作権が存続していればそれを利用するにあたっての許諾が必要ですが、日本語版に関する許諾は必要ないということになります。
一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務) 高木泰三行政書士事務所
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