2014年10月20日月曜日

「版権」という言葉

コンテンツを扱う業界、あるは著作権を扱う業界においては、今でも「版権」という言葉が使われています。

しかし、現在の著作権法では版権という用語は使われていません。


版権という用語は、明治時代に制定された「出版條例」で使用されていた用語で、その後制定された「著作権法(旧著作権法)」では使われなくなりました。
立法趣旨から考えても、出版條例の「版権」と、著作権法の「著作権」では、権利の範囲も異なります。
その違いを理解して版権という言葉を使うことは構わないと思いますが、実際にはそうでないように思います。

「著作権」は、「権利の束」と言われるように、多くの権利(支分権)の集まりです。
単に、「著作権」といった場合であっても、支分権のどの権利を指すのかが不明確であったりします。(通常、「著作権を譲渡します。」という場合には、著作財産権の全てを指していると考えられます。)
まして、現在は法律で使われていない用語である版権という言葉を使う場合には、現在の法律で使われている著作権のどの権利と対応するのかを明確にしておく必要があります。
現行の法律上、「版権」の権利範囲が規定されていないからです。
このような場合に、当事者それぞれが違った解釈や考えをしていると、後々のトラブルにつながることになり、注意が必要なのです。


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